スナップ写真の極意、〈残心〉

若い頃には自分の時間に限りがあるなんてことは心に留めていませんでした。
観念的には頭の奥深くに潜んでいたのでしょうが、それが頭を持ち上げて意識の層まで浮かび上がってくることはあまりありませんでした。
自分の時間が永遠に続くと思っていたとは言わないまでも、時間が途切れる日が来ることを予想だにすることはありません。

それが、歳をとると時間の大切さをひしひしと感じるようになります。
無くしてしまって初めて気付く凡人の愚かさとでもいうのでしょうか。
しかし、これまで過ごして来た自分の人生が、無駄な時間の積み重ねであったと思っている訳ではありません。
そこそこに、時間を大切に生きてきた自負はあります。

写真は時間と極めて深い関係をもっています。
何千分の一秒とか、何万分の一秒といった、人の視覚では捉えることができない、極めて短い時間を提示することができます。
それほど、特殊なことでなくても日常を1/125秒とか、1/30秒とかいった断片に切り取る作業が写真を撮るということではないでしょうか。
瞬間瞬間を見逃さない感性が写真を撮る人間には求められます。

今日の二枚の写真は、それぞれの撮影データを見てみると、14時41分と全く同じ時間を記録していました。
もちろん同じカメラで撮っていますので、時間設定が違っていたといったことはありません。
つまり、1分にも満たない時間のなかで、状況が変わってしまったということなのです。

次の瞬間に何があるか分からないのが人生・・・なんて哲学的な話は私には似合いませんが、次の瞬間に何があるか分からないから、気を抜かないということくらいは、写真を長くやってきた人間の一人として、言っても許されるのではないかと思います。

「残心」という言葉があります。
剣道や弓道などの武術の世界の言葉です。
相手に切り込んだり、弓を射たり・・・攻撃の動作の後でも、相手の反撃に備えて、気を抜かずに身構えておくといったことです。
緊張を持続すさせておくということです。

写真の場合は、次におこる何かを期待して、シャッターを押した後も気を抜かないことです。
今よりも、もっと嬉しくなるような何かが飛び込んでくるかも知れませんよ。
逃がした魚は大きい・・・なんてことがないように〈残心〉ですよ。


110309.089 大阪市天王寺区 M9 Sn28a#

110309.090 大阪市天王寺区 M9 Sn28a#
大阪市天王寺区 | LEICA M9 + SUMMICRON-M 28mm F2 ASPH.

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