好物は最後に。

撮影の途中で古本屋を見つけると、ついつい立ち寄ってしまいます。
通い慣れた町で、お気に入りの古本屋があるところだと、撮影が終わる時刻に古本屋の店先に立てるように道順が決まってきます。
いくら、古本屋で時間をつぶすのが好きだからと言って、いきなり古本を買い込んだのでは、本の重さが、その後の撮影に影響してきます。
好物は最後に・・・です。

はじめての町で、おもいがけず良さそうな古本屋に出くわすと、嬉しくなってしまいます。
私が写真を撮るのは、プロの写真家が仕事として撮影するのとは違って、簡単に言ってしまえば暇つぶしのようなものですから、古本屋に立ち寄ろうが、中古カメラ屋のショーウインドーに額を張り付けていようが、お構いなしです。

暇つぶしは純粋な行為です。
そこに打算も思惑もなにもありません。
写真が暇つぶしなら、古本屋への立寄りは暇つぶしの暇つぶしということになります。
得意の屁理屈を言わせてもらうなら、写真を撮るよりも、もっと純度が上がった時間の過ごし方と言えるのかも知れません。

古書店に入っても、若い頃とは違って、写真の理論書などにはあまり見向きません。
写真集は今でも、ちょっと見ますが、写真関係以外の棚の前に立っている方が断然多いと思います。
また、私の古本探しは、稀書や珍本を探すものでもありません。

このあたりは、写真の被写体を探す目と同じかも知れません。
特別な本ではなくて、ちょっとこころが動いて書棚から抜き取ってみた一冊の本。
手に取ったその本に引きつけられ、もとの棚に戻せなくなり、自分のものにしてしまう。
もちろん、お金を支払ってですよ。

私がレンズを向けるものも、こんな感じです。
特別のものでもなく、誰もが心躍らせるものでもなく、ただただ自分のこころが動いただけのことなのです。
こころが動いた確かな理由は自分でも分からないのです。
気になるともうだめ、こころの動きに素直に反応して写真に撮るしかありません。

そういえば、大阪の古本屋、〈パーク書店〉で、本を選んでいるときに。店主が突然、立ち上がって何か叫びながら、店の外に飛び出しました。
万引きの被害にあったようです。

小さな店構えの〈パーク書店〉ですが、私が書棚に並んだ本の品定めをしている間にも、何人かの人が読んだ本を売りに来ました。
そして、得たお金にいくらかを足して、また、新たに本を買って帰ります。
活字好きの人が、本をうまく循環させているのを見ると、嬉しくなります。

大阪には〈天牛書店〉という有名な古書店があります。
こちらは古本屋という呼び方がぴったりの〈パーク書店〉とはちがって、まさに〈古書店〉といった、立派な店構えで、扱う本の数もたいへんなものです。
〈天牛書店〉には、子供の頃に父親と何度か出かけたことがあります。
今はもうありませんが、父親に連れて行かれたのは、たしか〈千日前〉のお店だったと記憶しています。
子供だった私にとって、古本屋に入ることで、ちょっと大人になった気分を味わえたのかも知れません。
いずれにしても、私の古本屋好きは父親譲りなのでしょう。
また、父親との思い出の一つとして、古本屋を懐かしんでいるのかも知れません。

古本屋で本を探す楽しさは、思いがけないところで、思いがけない本と出会えることです。
写真撮影も、思いがけないところで、思いがけないものに出会えることを楽しみに、ただひたすら目と足を動かすのです。

110312.145 大阪市北区天神橋筋 M9 sn28a#

110312.131 大阪市北区天神橋筋六丁目 M9 sn28a#

〈天牛書店〉は現在、吹田市江坂に本店を移しており、大阪市内では北区天神橋3丁目にあります。
そこで、天神橋筋で好物の〈コロッケ〉と〈餃子〉です。
〈王将〉の前に立つ男性、眼力が凄かったので、思わず撮ってしまいました。
残念ながら、ちょっと後ピンです。

好物とピントは〈後〉が良いということではありません。


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みかん猫67

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