2015年3月アーカイブ
〝 あたたかい まんじゅう あたたかい こころ 〟
福岡県直方市 / LEICA M Typ240 × ELMARIT-M 28mm F2.8 ASPH.
写真を撮りにふらっと出かけたところで素敵な甘味を味わうのも、まさに町歩きの醍醐味。
福岡県直方市に出かけると、ここ大石さんの〝成金饅頭〟を買って帰ります。
売り切れになるのが早いので、先ずはここで成金饅頭を少し買ってから町歩きを始めるのです。
今回、直方在住の河野くんの紹介で、饅頭つくりの現場を覗かせて頂いた。
そして、焼き上がったばかりの〝成金饅頭〟を頂戴したが、これがまた美味かった。
大石さんご家族の心温まる持て成しに感謝をこめての一枚。
〝 とべなくても ひこうき と ひとはよんでくれる 〟
長崎県長崎市 / SONY α7II × ELMARIT-M 28mm F2.8 ASPH.
ずいぶんと前にこの場所を訪ねたことがある。
黒白フルムで写真を撮っていた時代に。
写真家の植田正治さんの言葉を借りれば〝ネガの熟成〟が終わって、引伸しにはいる前に私は暗室に入らなくなった。
それで、この飛行機の写真は黒白のネガはあるのだけれど〝写真〟になったものを私本人も眺めたことがない。
友人に頼んでくるまで連れていってもらった。
記憶を頼りに28mmと90mmのレンズで出かけた、もう少し短焦点の組み合わせの方が良かったと後悔。
結局は、苦肉の策で縦位置で撮った。
〝 四六時中、電波の網の中。 〟
福岡市中央区 / SONY α7II × Nikon LENS SERIES E 100mm F2.8
「悠々自適でしょ」と良く言われます。
悠々自適とは『俗事にわずらわされず,自分の思うままに心静かに生活を送ること。』だそうですが、なかなそいうった暮らしぶりとは縁遠い日々を変らず続けております。
好き勝手して、この不確かな時代を何の不安も無く乗り切れるだけの確かな経済的基盤もなく、少なからずストレスを抱え、スピードの速いネット社会に振り回されながら暮らしています。
心静かな生活を送るために社会との繋がりを断つ勇気もなく、ぐずぐずと暮らしている身としては「悠々自適なんてとてもとても」と返事させてもらうのが常です。
〝 春風に吹かれ散りゆく船の煙 〟
福岡市中央区 / LEICA M240 × SUMMILUX-M 35mm F1.4 ASPH.
春の陽気に誘われてふらっと散歩。
とはいっても・・行く当てはなし。
ふと海が見たくなり、いつもバスの窓から眺めている海が見える橋の上まで行ってみました。
海風に吹かれて心地良く、写真は撮れそうにないのんびりムード。
しばらく橋の上でぼんやりしていると、船の煙突から黒い煙がたなびきはじめました。
船が動き始めたら写真が撮れるかもと待ち構えたけれど碇が上がる気配がないので待つのを諦めました。
帰りにバスの窓から見ると、船は黒い煙を吐くのを止めて、まだ停泊したままでした。
〝 頭にキリンほどの毛もないのに床屋通い 〟
福岡市中央区|福岡市動植物園 / FUJI XE1 × Summaron 28mm F5.6
床屋の椅子に座り、最初のうちは頭を刈ってもらいながら床屋のオヤジと世間話をするのですが、頭を触られているうちの気持ち良くなってついつい居眠り。
この居眠りが実に心地良いのです。
極上の居眠りです。
頭には床屋の手を煩わせるほどの髪の毛はありませんので、この居眠りを楽しむために床屋通いをしているようなものです。
蒸しタオルを顔に当てられ、顔そりをしてもらって・・
鏡のなかの我が顔は、ほんの少し垢抜けしたような。
垢抜けした顔をぶら下げて、ちょっと寄り道して帰ろうかと思ったけれど、猫が待っているので真っ直ぐ家に戻ります。
ねこは「男前が上がったね」とは言ってくれませんが。
〝 男子も鍋を持って走る学園祭 〟
福岡県太宰府市 / LEICA M Typ240 × SUMMILUX-M 35mm F1.4 ASPH.
暖かな春の午後、お誘いを受けましたので高校の学園祭に出かけてきました。
訪れた高校では、バザーのためでしょうか、男子学生が調理器具を持って廊下を行き来していました。
そのなかの一人に声を掛けて写真を撮らせてもらいました。
こういったときには、もちろん撮らせてくれそうな人を選んで声を掛けます。
撮らせてくれそうと感じる基準はその時々で違いますが、今回の場合は生真面目で素直そうな人柄を見越して、彼なら断らないだろうと判断した次第です。
突然で驚いたでしょうが、こんな写真が撮れました。
ありがとう。
〝 春めいて ねこの水飲む音頻繁 〟
福岡市中央区|須崎公園 / / FUJI X100s × FUJINON 23mm F2
日々の暮らしのなかで季節の移ろいを感じる事柄は、それぞれあると思いますが、我が家の場合、ねもたちの暮らしぶりの変化で気付かされることがあります。
〝もも〟というおばあさん猫は冬の間、私の布団に潜り込んで朝まで一緒に寝ています。
それが、このところ途中で布団の中からを抜け出して、布団の上で寝るようになりました。
毛皮を身にまとい、一晩中布団にくるまれていると暑く感じるようになってきたのでしょう。
夜明けが早くなり、ねこたちが朝ご飯の催促で私を布団から引きずり出す時間も早くなってきています。
春です。
〝 町が壊され 時代が消えていく 〟
福岡市東区香椎 / Panasonic DMC-GM5 × LUMIX G 20mm F1.7II ASPH.
青春時代を過ごした町が〝再開発〟とかで大きく様変わりをしています。
松本清張さんの小説〝点と線〟に登場する〝香椎〟の町は、その後、賑やかな町へと発展したのですが交通環境の変化とともに衰退。
再開発も止むなしというところなのでしょう。
学生時代、この町の中心にあった旧国鉄香椎駅から、私たち学生は蟻のように20分ほど行列をして大学まで通ったものです。
この町の銭湯に通い、安酒場で呑み、顔なじみの商店で買い物をして・・。
そういった思い出を刻んだものたちが大きな渦に飲み込まれるかのように姿を消してしまいました。
JR香椎駅から大学まで、懐かしい道を歩いてみました。
途中の〝鎧坂〟には、新婚時代に暮らしたアパートがあったのですが、これも姿を消していました。
〝 寒去り 落とし主現れず 〟
福岡県糟屋郡新宮町 / Panasonic DMC-GM5 × LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH.
手袋やマフラーなど寒いときに手放せなかったものも、気温の変化に合わせて脱いだり外したりするようになると、ついついうっかり無くしてしまうことがあります。
これから日に日に春めいていきますので手袋やマフラーが見つからなくても
「ま、いいか・・」
「また来年新しいのを買おう」
と云うことになります。
誰かが拾い上げて、フェンスに引っかけてくれた手袋が寂しげにうなだれていました。
もう一度寒風が吹くことがあれが、「私はここよ」と風に合わせて手を振るのでしょうが。
〝 飛び立つ方向を忘れてしまったのか 首を伸ばしたり縮めたりして戸惑っているような鳥 〟
韓国 / LEICA M8.2 × SUMMILUX-M 35mm F1.4 ASPHERICAL
整形外科で治療を受けて帰りの時間が丁度昼の時分時だったので、近くのスーパーで弁当でも買って帰ろうかと思って出かけました。
スーパーで夕食のための材料をあれこれと買い込んで意気揚々と引き返し、買って来たもの冷蔵庫など所定の場所に納め終わり片付いたところで、昼に食べるための弁当を買ってきていないのに気付きました。
歳とともにこうした物忘れというものが増えてきたように感じています。
冷蔵庫を開けて、何を取り出そうとしたのか分からなくて一瞬戸惑ったり、眼鏡をかけているの眼鏡を探したり・・
喜劇のような物忘れを楽しんでいる毎日です。
〝 隣のレジの方が速そうだと変ったら裏目に出た 〟
福岡県北九州市|到津の森公園 / Panasonic DMC-GM5 × LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH.
混雑するスーパーのレジで。
私の前に並んでいるお客の籠の中はみなさん一杯でした。
隣のレジの方も同じくらいの人数が並んでいたのですが、一人一人の買っているものの数が少なかったので、隣のレジの方が速いと判断し列を変ったら、それが裏目にでました。
レジの係の人の作業が遅かったのです。
丁寧と言えば丁寧なんだけど。
元のレジで私の後ろに並んでいた人はもう清算が終わったというのに、私の前にはまだ二人も・・
このスーパーでいつも買い物をしている主婦の皆さんは、レジを担当している人を確認して並ぶレジを決めているのでしょう。
ということで、今日は暢気が亀くんの写真です。
〝 あまりにも昔のこと。色褪せた詰め襟の記憶。 〟
福岡市中央区 / SONY α7R × MC W.ROKKOR-HH 35mm F1.8
卒業式の話題をよく耳にする季節です。
小学校、中学校の卒業式はあまりにも昔のことで、見事に記憶から消え去ってしまっています。
大学の卒業式は、卒業後も大学に残ることになって、その学費稼ぎで働いていて欠席。
記憶にあるのは高校の卒業式くらいです。
突然、父親が父兄代表で謝辞を述べているのに驚かされましたので。
高校はいわゆる詰め襟の黒い学生服でした。
校章が刻印された金ボタンが何故か記憶に残っています。
何故でしょうね。
卒業式のときに、女子高生が金ボタンを欲しがった・・なんてことはなかったはずなのですが。
〝 大きな窓は映画のスクリーン 〟
福岡県糟屋郡新宮町 / SONY α7II × MC W.ROKKOR-SG 28mm F3.5
長年、カメラを持ち歩いてきた歪みなのか、単なる歳の所為なのか、首のあたりの神経を痛めてしまったようで、週に数回、整形外科に通っていはじめて一ヶ月ほど経ちました。
病院の待合室はガラス張り。
ガラスの向こうはバス停です。
待合室の椅子に座ってぼんやりと窓の外の様子を見ているときに、「映画のスクリーンのようだな」と思って4枚続けて撮りました。
最初は女性一人。
次のカットは男性がこちらに向かって歩いて来ている上の写真。
三枚目は二人並んだ後ろ姿。(二人は知り合いではない様子)
四枚目は右の壁の向こうに立っていた男性の上半身が画面に登場。荷物を持ち上げます。
写真には撮らなかったけれど、この後、バスが来て、そして誰もいなくなった。
あまりにも短い短編映画でした。
〝 暖かくなり寒くなたり その狭間で老いの身は立ち往生 〟
自宅にて / Panasonic DMC-GM5 / GM5 × LUMIX G 20mm F1.7II ASPH.
季節の変わり目。
暖かくなったり、寒さが戻ったりで老いの身は戸惑うばかりです。
我が家の白猫〝もも〟も、寄る年波には勝てない様子で、ちょっと体調を崩しました。
おねこ様用の電気ストーブにへばりついています。
普段は猫どうしなのに〝犬猿の仲〟である、若ねこ〝銀次郎〟が、心配そうに〝もも〟寄り添ってやっています。
本当は自分も寒いので割り込んでいるのかも知れないのだけれど、写真に写ったその表情はいかにも「心配です・・」といった様子です。
〝 キャッチボールすらやらなくなって何十年も過ぎた 硬いグローブ 〟
福岡県太宰府市 / SONY α7II × Loxia Planar 50mm F2
いよいよ野球のシーズン到来です。
特に身を入れて応援しているチームといったものはないのですが、ここ数年、赤い鯉チームを密やかに応援しています。
私が生まれ育った大阪には黄色い虎チームがあり、人気を得ていたのですが、私は緑の鷹チームを応援していました。
その緑の鷹チームは身売りをて、私が現在暮らしている福岡にやってきて黄色い鷹チームに変身。
鷹つながりで黄色い鷹チームを応援したいところなのですが、どうもいけません。
やはり赤い鯉チームを応援する方が私の性分に合っているようです。
性分って・・そう、へそ曲がりですから。
Waikiki Oahu HAWAII / LEICA M9 × SUMMICRON-M 28mm F2 ASPH.
人にはそれぞれ良い記憶というものがあると思います。
私くらいの歳になると、これから先の人生の中で、それほど良いことがあるとは思えないので、〝良かったとき〟と過去形になってしまうのは寂しいことですが。
ちょぼちょぼの人生ですから・・ここは「人生でしたから」と過去形ではなく・・ファンファーレ入りで人様にご披露出来るようなものではありませんが、「あのときは楽しかったな」とひとり思い出に耽る〝記憶の中の時〟はあります。
そんな〝記憶の中の時〟が貝合わせの一方に貝だとしたら、それにぴったりと合う片割れの貝を見つけたとき、「写真撮ろうかな」と思うのでしょう。