2016年8月アーカイブ
【 過ぎた日々 炭酸の泡に似て 】
福岡市博多区 / LEICA M-P × MC W.ROKKOR-HG 35mm F2.8
食堂の入り口の横に置かれた古いテーブル。
椅子もなく、いつ見ても使われている様子は見えない。
まあ、食堂ですからこの上での食事は衛生上も芳しくない。
この時は、雨上がりの日。
テーブルの上に敷かれた板ガラスの水滴が気になって足を止めた。
よく見ると、テーブルと板ガラスとの間に水滴はあった。
どうでもいいような些細なことに心動かされる。
故に、出来る写真は、私以外の多くの人にとってどうでもいいようなものばかり。
それでも、一人二人くらいは私と同じ躓きをする人がいると思っている。
【 助手席から 垣間見えたる夏の海 】
福岡県糸島市志摩 / Sony α7RII × M-HEXANON 28mm F2.8
炎天下。
車から出るのも億劫に思える。
毎度のことだが、私は助手席。
目的地は特にないが西の方とだけ運転してくれるYくんから聞いた。
どこをどう走っているのかも分からず、
運転をしてくれているYくんには申し訳ないが、のんびりと窓の外を眺めていた。
そんな視界のなかに海が飛び込んできた。
一瞬、迷ったが、車を止めてもらった。
被写体を見つけてから「撮ろう」と決めるまでの、
タイムラグが歳をとるにしたがい大きくなっている。
ひどいときには車をUターンしてもらうことも度々。
家と家の間に垣間見えた海。
狭い視界のなかで、綺麗な色を見せてくれた。
【 夏みかん 転がる溝に 青い空 】
甘い果物は「美味しい」ともてはやされるが、〝夏みかん〟のように、見ただけで口のなかに酸っぱさがこみ上げてくる果物は誰も喜ばなくなった。
福岡市東区 / LEICA M8 × ELMARIT-M 28mm F2.8 ASPH.
ラジオで『町中の果物屋が減っている・・』と言っていた。
そう言われると、確かにそうかもしれない。
松本清張さんの〝点と線〟に、
国鉄香椎駅と西鉄香椎駅の間にある果物屋が登場する。
その、果物屋も近年、姿を消した。
ラジオでは果物の消費量も減っていると言っていた。
ことらの方は予想外。
「甘味」というものが果物以外にもたくさん巷に溢れて、その結果、果物全体の消費は減っているらしい。