福岡県糟屋郡新宮町 / LEICA M-P × SUMMILUX-M 35mm F1.4 ASPH.
正岡子規の随筆選『飯待つ間』のなかに、『雲の日記』と云うのがあります。
12月15日から31日までの空模様や雲について短く日記風に綴られたものです。
その書き出しは、『明治卅一年十二月十五日 朝晴れて障子をひらく。赤ぼけたる小菊二もと三もと枯芒の下に霜を帯びて立てり。空青くして上野の森の上に白き薄き雲少しばかり流れたるいと心地良し。われこの雲を日和雲と名づく。午後雨雲やうやくひろがりて日は雲の裏を照らす。散り残りたる余所の黄葉淋しげに垣ごしにながめらる。猫のそのそと庭を過ぐ』とあります。
ここに書かれた、『白き薄き雲少しばかり流れたるいと心地良し。われこの雲を日和雲と名づく』
という件、そこに登場する〝日和雲〟と云う表現に心惹かれました。
私の写真のなかにもよく雲が登場します。
ことさら写真にとどめておく必要もない、ぼんやりとした私の写真に〝雲〟はお似合いなのでしょう。
山側に向かう私の散歩道。
以前は水田だった場所も今では雑草の生い茂る荒れ地と化してしまっています。
それでも、
透明な光、
青空に浮かぶ白い雲、
その下に広がる緑、
そんなものを眺めていると、
正岡子規さんのように「いと心地良し」と日和雲気分になって撮ってみました。